民進党の蓮舫代表が、「私には統率力が不足していた」として辞任を表明した。
東京都議選で大敗し、野田佳彦幹事長の辞任で乗り切ろうとしたが、党内の反発は強く、続投は困難な状況だった。
低迷を極める党勢をみて、自ら引責辞任した判断は妥当といえよう。
だが、蓮舫氏が去っても、民進党が多くの国民の信頼を失った要因が、根本的に解決されるものではない。
求められるのは、国民の生命と生活を守るための政策を磨き上げ、与党と競い合う勢力として生まれ変わることにほかならない。次期代表の選出を通じ、その姿を内外に示すことが重要である。
蓮舫氏は昨年9月、高い知名度などを期待されて党代表に選ばれた。提案型、対案型の党になると標榜(ひょうぼう)したが、その実体は55年体制下の社会党のような「反対政党」にすぎなかった。
テロ等準備罪を設ける改正組織犯罪処罰法の審議では、「息苦しい監視社会になる」などと決めつけ、反対ありきの姿勢に終始した。テロや暴力団犯罪から国民を守り抜く視点を欠いていた。
安全保障でも、北朝鮮や中国の脅威から日本をどのように守るかの議論を深めることはなかった。アベノミクスの「失敗」は盛んに批判したが、経済成長に資する政策を自ら説得力をもって披露する場面もなかった。