ドイツ文学者、中野京子さんが語る『怖い絵』展「『恐怖』には多彩な顔」 兵庫県立美術館で待望の企画展

ドイツ文学者、中野京子さんが語る『怖い絵』展「『恐怖』には多彩な顔」 兵庫県立美術館で待望の企画展
ドイツ文学者、中野京子さんが語る『怖い絵』展「『恐怖』には多彩な顔」 兵庫県立美術館で待望の企画展
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 「恐怖」をキーワードに2007年、ドイツ文学者、中野京子さんが上梓(じょうし)した「怖い絵」は、西洋美術史に登場する名画を読み解く著書として大きな反響を呼んだ。それから10年。中野さんが紹介した絵画、版画などを中心に「恐怖」の切り口で選び出した傑作を集め、22日から神戸市の兵庫県立美術館で始まった「怖い絵」展(http://www.artm.pref.hyogo.jp/)はこの夏、大きな話題を集めている企画展だ。特別監修者の中野さんに、みどころなどを聞いた。(正木利和)

背景を知れば

 わたしが絵について書き始めたのは、通信社や雑誌で連載を依頼されたのがきっかけです。反響が大きく、手応えを感じました。以前から、感性だけの鑑賞は楽しみを損なうと思っていたので、絵の背景を知るともっと面白くなりますよ、ということを伝えたかったのです。「怖さ」というキーワードを入れたのは、恐怖を知らない人はいないし、恐怖には多彩な顔があるからです。ある意味、生きているそのこと自体も怖いし、人間によって生み出された芸術も怖さを孕(はら)んでいると思います。

 小さなころから家にある画集を見るのが好きでした。田舎の町だったので海外の作品展などはなく、本物の西洋名画を見る機会は少なかったです。でも大学に入ってからは、欧米の有名どころの美術館にはほぼ全て行きました。そのうち翻訳の仕事をしながら、オペラの著書を出すようになります。

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