「あの時代はああいう人が多かった、で済ませたくはない。でも、ことさらに父を否定するつもりはないんです」。不器用だった父の背景に思いをはせる。
受け継がれた愛情もある。安藤さんはテレビを見ながら、子供たちにニュースの解説をする。幸典さんもしてくれたことだ。
FJの活動は広がり、イクメンという言葉も一般化した。「反面教師として父を憎むほど、活動に打ち込めた」と振り返る。
今年6月に営まれた、幸典さんの七回忌。「しぐさや表情が似てきたね」。親族の言葉に、むっとした。「整形しようかなって思いました。だってやっぱり、父のことは好きではないですから」と、はにかんだ。(油原聡子)
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≪メッセージ≫
お袋と出会ってくれてありがとう。だから僕がいるということに、感謝しています。
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【プロフィル】安藤幸典
あんどう・ゆきのり 昭和3年、香川県生まれ。18歳で上京し、造幣局の職員として定年まで勤務した。平成23年に食道がんのため、82歳で死去した。
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【プロフィル】安藤哲也
あんどう・てつや 昭和37年、東京都生まれ。2男1女の父親。明治大卒業後、出版社、書店、IT企業など9回の転職を経て、平成18年に父親支援事業を営むNPO法人「ファザーリング・ジャパン」を設立、代表理事を務める。著書に『父親を嫌っていた僕が「笑顔のパパ」になれた理由』(廣済堂出版)など。