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かつて「欧州の火薬庫」と呼ばれたバルカン半島の情勢が混沌としてきた。旧ユーゴスラビア連邦の解体で誕生した各国は欧州連合(EU)加盟を目指すが、具体的な展望はなお見えない。ロシアが影響力拡大を図る一方、経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国の進出も顕著となり、EUは危機感を高めている。
(ベルリン 宮下日出男)
EUは今月12日、独仏伊など加盟7カ国、セルビアなど未加盟のバルカンの6カ国と伊北東部トリエステで首脳会議を開き、バルカン各国間の交通網整備事業に合意した。EUも資金支援し、経済発展で遅れるバルカン地域のインフラ整備を後押しする目的だ。
モゲリーニEU外交安全保障上級代表は「首脳会議は成功だ」と胸を張る。ただ、メディアには「バルカンへのEUのいいかげんさが明白になった」(欧州メディア・ユーラクティブ)との皮肉も上がった。
20世紀初め、列強の勢力争いも絡んで「欧州の火薬庫」とされたバルカンは第一次世界大戦の発火点となり、冷戦後は旧ユーゴ解体の過程で泥沼の紛争に陥った。旧ユーゴ7カ国のうちスロベニアとクロアチアはその後、EUに加盟。残る5カ国とアルバニアもEUへの道を歩む。