弁護士会 矛盾の痕跡(2)

〝情緒司法〟韓国焚きつけ 「解決済み」の戦後補償…人権派は日本の「非」強調、事実検証なく歴史も断罪

先の大戦をめぐる日本の戦後補償の主な流れ。日本弁護士連合会は戦後50年の「宣言」で、日本の戦前・戦中の加害行為を一方的に断罪、被害回復の措置も不十分だと打ち出し、「解決済み」の戦後補償問題が韓国で蒸し返される流れにもつながった
先の大戦をめぐる日本の戦後補償の主な流れ。日本弁護士連合会は戦後50年の「宣言」で、日本の戦前・戦中の加害行為を一方的に断罪、被害回復の措置も不十分だと打ち出し、「解決済み」の戦後補償問題が韓国で蒸し返される流れにもつながった

 4月28日、韓国の首都ソウルで市民団体「対日抗争期強制動員被害者連合会」が開いた記者会見。日本の朝鮮半島統治時代に強制労働させられたとする朝鮮人徴用工の像を、ソウルなどの慰安婦像の隣に設置すると発表した。徴用工の名誉回復や日本の謝罪・賠償の実現が目的という。

 徴用とは、国家総動員法に基づく昭和14年の国民徴用令によって国民に等しく課された労務で、朝鮮半島居住者への適用は19年9月からの実質7カ月だったとされる。日本に統治された屈辱を背負う韓国では強制連行・労働という言葉で日本の加害性が強調されるが、実態を反映したものではない。

 元徴用工への補償に関しても、日本政府は「1965年の日韓基本条約と日韓請求権協定で解決済み」との立場。同協定は韓国が対日請求権を放棄する一方、日本は韓国に5億ドル相当の経済協力を行うとした。韓国政府も2005年、「徴用工など強制動員問題への補償は1965年の経済協力金に含まれている」との見解をまとめている。

 にもかかわらず、韓国最高裁は2012年、「国家の請求権が放棄されても、個人の請求権は消滅していない」との判断を示した。韓国ではその後、元徴用工らが日本企業側に損害賠償を求めた訴訟で勝訴するケースが相次いでいる。

 慰安婦問題でもみられるように、両国が「解決済み」とした元徴用工問題がなぜ蒸し返されるのか。それは情緒が司法判断さえ左右する韓国の風潮に加え、原告側が「良心的勢力」と位置付ける日本弁護士連合会(日弁連)や人権派弁護士らの存在がある。

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