全日本柔道も
全日本柔道連盟(全柔連)が頭を悩ませるのは、20年春の全日本選手権会場。1965年以降ずっと日本武道館(東京都千代田区)で日本一を決めてきたが、東京五輪で柔道と追加種目の空手の会場となる武道館はその時期、大規模改修工事のまっただ中にある。
五輪では選手の練習施設として活用される400畳分の「中道場」を来年5〜6月から本館南側地下に整備。本館の改修工事は19年9月から20年7月を予定している。屋根の全面的な張り替えや空調整備、バリアフリー化などで完全リニューアルされ、その間は完全に休館となる。
東京都内で代替会場を探す方針だが、全柔連関係者は「限られた会場の奪い合いも覚悟している」と危機感を抱く。
一般にも影響
プロ野球は五輪・パラリンピック期間中、公式戦を中断する方針だが、Jリーグを含めて20年シーズンは五輪会場に決まったスタジアムでどの程度の試合を開催できるか不透明。さらに影響はトップアスリートにとどまらない。草野球大会などでにぎわう明治神宮外苑の軟式グラウンド(新宿区)には新国立競技場の陸上サブトラックが仮設整備される予定。各国の事前合宿地などでも一般利用不可となるところは多く、「いまスポーツを楽しんでいる場が失われる」という側面もある。
早大スポーツ科学学術院の原田宗彦教授は「ロンドン大会では街に『これからこう生まれ変わるんだ』と描かれた絵が掲げられていた。そういったプロモーションや仕掛けが足りていないのではないか」と指摘。「情報を開示し、五輪は夢のあるものとアピールすることで、理解を得るべきだ」と語る。
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東京五輪開幕まであと3年。33競技339種目にまで肥大化する五輪は開催都市に多大な影響を及ぼす。負の側面をいかに小さくし、どれだけ多くの夢を語れるかが問われそうだ。