誠実に説明責任を果たす姿勢を示すとし、24日の衆院予算委員会で低姿勢に徹した安倍晋三首相。識者はこの日の答弁をどう見たか。
「失言もなかったし、傲慢ととられるような発言もなかった」と評したのは、元通産官僚で評論家の八幡和郎氏。一方で、「加計学園が最初にあったとしても他の可能性が排除されていなければ問題はないのだが、そこが理解されにくい。今回の疑念を完全に払拭することはなかなかできない」とも話す。
八幡氏は「あらゆる制度設計は(加計学園のような)有力候補があって初めて議論が始まる」とした上で、「民進党も民主党政権時代に同様の方法で制度設計を行っているのだから、安倍首相は『当時もこうだった』と反論してもよかったのでは」と語った。
作家の佐藤優氏は「『丁寧な説明』を試みても議論が収束しない」とみる。
この日の答弁で、加計学園の加計孝太郎理事長と友人関係だったことを認めつつ、便宜を図る指示はしていないと重ねて強調した安倍首相。「岩盤規制に穴を開けるには政治の力がいる。仲が良いとかは当たり前にあることで、賄賂など不正がない限りは問題ではない」。佐藤氏はこう説明する一方、これまで相次いだ閣僚や自民党幹部による失言への不満が「爆発している」として、「安倍首相は何を言っても聞いてもらえない状況にある。国民からの根源的な信頼を失ってきている」との見方を示す。