今月上旬に報道各社が実施した世論調査の結果は軒並み、安倍晋三内閣の「失速」を示している。
東京都議会議員選挙における自民党大敗の流れを受けた調査である故に、安倍内閣・自民党に険しい結果が出た事実は、それ自体としては驚くに値しまい。ただし、たとえば「時事通信」調査で30%を割り込むに至った内閣支持率の下落は、「安倍1強」の言葉で語られた日本政治の風景の変化を世に印象付ける。
≪「終わりの始まり」は正しいか≫ 安倍内閣の行方に関する注目点は、次回の調査で、この下落トレンドが加速しているか、あるいは止まっているかである。安倍内閣の「終わりの始まり」を指摘する声が聞かれるけれども、その指摘は正しいのか。
とはいえ、安倍内閣の政権基盤における動揺を前にして、問われなければならないことが一つある。それは、「安倍内閣の対外政策展開は、どのように評価されているのか」ということである。
筆者が下す内閣評価の基準は、第1が「外交・安全保障政策を切り回せるか」であり、第2が「経済を回せるか」である。