ウワサの現場

世界遺産・日光東照宮に真夏のミステリー?なぜ「眠り猫」は再び目を閉じてしまったのか

 保存会で工事監督として修復作業の陣頭指揮を執った浅尾年和さん(65)は「それぞれの作業は担当者に任せてあるので取り付けまで気付かなかった」と話し、「当時の史料は残っていないので難しいが、(修復作業に)私見を入れてはいけない」と戒める。

 日光は雨も多く、湿度も高い。建物の修復作業に合わせて彫刻の漆、彩色は剥落や色褪せも進むため、定期的な塗り直しは必要だ。

 江戸時代から50年周期で修復が続けられ、かつての眠り猫は「薄目を開けていた」とも言われてきた。眠り猫を巡るミステリーを問い詰めると、真夏の夜が眠れなくなりそうだ。

 【日光東照宮】徳川家康を御祭神として祀った栃木県日光市の神社。家康は、1616(元和2)年に駿府城(静岡市)で75歳の生涯を終え、市内の久能山に神葬されたが、遺言によって1年後にここに移った。鎌倉幕府以降、東国の宗教的権威であった地に、東照宮を造営したと考えられる。主な社殿群は、三代将軍・家光が造替した。

 【眠り猫】猫は前足をしっかりと踏ん張っているようで、家康を護るために寝ていると見せかけ、いつでも飛びかかれる姿勢をしているという。また、猫の裏には雀の彫刻があり、戦乱の世が治まり、猫が居眠りして雀と共存共栄しているという解釈もある。

会員限定記事会員サービス詳細