産経抄

佐藤正午さんのソーメン 7月21日

 ▼あり得ない話なのに、いつのまにか引き込まれていく。「丸谷才一×村上春樹」。佐藤さんは、『永遠の1/2』でデビューしたとき、評論家からすでにこんな評価を受けていた。流れるような筆遣いと緻密でたくらみに満ちた構成は、同業の作家たちをもうならせてきた。

 ▼佐世保での一人暮らしを軽妙につづったエッセーにも、ファンが多い。夏の昼食に必ずソーメンを食べる習慣については、昨夏のコラムで紹介させてもらった。もっともこれからしばらく、お祝いと原稿依頼のメールや電話が殺到する。応対に忙しくて、ソーメンをのんびりゆでている余裕はなさそうである。

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