暗闘 茨城知事選2017の舞台裏

(下)公明の転換、自民は多選批判

 8月27日投開票の知事選に向け、自民党県連が擁立した元経済産業省職員の新人、大井川和彦(53)は4月、公明党に推薦を依頼したが、公明党は態度を保留してきた。動き出したのは今月13日だった。

 「自公連携の中で自民党が推薦する大井川を推薦できないか検討してほしい」

 公明党県本部代表の井手義弘は、党本部からこう提案を受けた。その後、大井川と政策協定を協議し、県本部所属議員の了解を得て、18日には党本部が大井川の推薦を決定した。

 ◆関係修復へ電光石火

 電光石火ともいえる推薦決定は、2日投開票の東京都議選で「都民ファーストの会」と組んだ公明党が、歴史的大敗に追い込まれた自民党と関係修復を図るためというのが衆目の一致した見方だ。

 公明党は、現職の橋本昌(71)が再選を果たした平成9、13、17年の知事選で橋本を推薦し、21年と25年は自主投票としてきた。新人と4期目以降の候補者を推薦しない党の原則に従いつつ、橋本とは良好な関係を築いてきた。

 「橋本には全く違和感を持っていない」「24年間支えてきたので橋本が悪いということはあまりない」

 17日、大井川とともに水戸市宮町のホテルテラスザガーデン水戸で記者会見をした井手は、橋本への近さをにじませた。

 同時に「どんなに素晴らしい人でも、多選の弊害はある。本人が悪くなくても、周りが物を申しづらくなる」と指摘し、「然るべき時に然るべき方にバトンタッチすることが必要だと前々から思っていた」とも語った。ただ、すでに橋本の支援で動いている公明党員や支持者が多くいることも明かし、それぞれの活動は容認する考えを示した。

 ◆暗に批判、弱点突く

 大井川は20日夕、水戸市笠原町の県庁で、自ら掲げる政策を発表した。

 「県知事多選禁止条例の制定」「今こそ、マンネリ・停滞・衰退の県政から『躍動する県政へ』」

 配布された資料には、名指しこそ避けているが、橋本の多選を暗に批判する内容が並んだ。自民党県連は、「多選」を橋本のウイークポイントとにらむ。

 「県庁内で部下は知事の機嫌を損ねることを極端に恐れ、真正面から知事に物を言わない」「このような停滞ムードの中で、今以上の県政の発展は望めない」

 6月13日の県議会第2回定例会の一般質問でも、自民党県議が多選の弊害を訴え、それに伴う橋本の退職手当にも言及。「莫大(ばくだい)な累積総額となる手当に見合う功績を挙げたとは考えられない」と攻撃した。

 橋本陣営も黙っていない。大井川を自民党県連の「操り人形」と揶揄(やゆ)し、対決姿勢を強める。大井川は20日、記者団を前に「何をもって私が操り人形になるのか。根拠のないことを言うのは無責任だ」と猛然と反論した。

 大井川、橋本に続き、3番目に出馬表明したNPO法人理事長の新人、鶴田真子美(52)は、日本原子力発電東海第2原発(東海村)の再稼働に明確に反対を表明しており、水戸市とつくば市を拠点に、県内全域で支持拡大を図ろうとしている。=敬称略(上村茉由、鴨川一也、丸山将)

会員限定記事会員サービス詳細