一方、世界貿易機関(WTO)は一方的な輸入制限を禁止する。安全保障が脅かされる場合は例外扱いとなるが、鉄鋼の流入が該当するかは見解が分かれる。
欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は、米国が制裁を実施すれば「わずかな日数で対抗措置を取る。2カ月もかからない」と警告。各国が相次いでWTOに提訴すれば貿易紛争が拡大し、トランプ政権の国際的孤立が際立ちそうだ。
とはいえ、ロシアの米大統領選干渉疑惑で支持率が低迷するトランプ氏にとって、貿易赤字の削減は支持者に向けて早急に成果をアピールしたい課題だ。
米産業界は日欧経済連携協定(EPA)の大枠合意にも危機感を持つ。10月にも開かれる2回目の日米経済対話で圧力が強まる恐れがある。(田辺裕晶)