関西の議論

「なぜクジラだけが特別なのか」捕鯨是非 ガチンコ論争で露呈した反対派の〝論点ずれまくり〟

アラスカの捕鯨は認める矛盾

 伝統文化のとらえ方をめぐっても双方の主張は決して交わらなかった。

 反捕鯨活動家は「近代的な船などを使って行われているもので伝統的な漁という区分には入らない。利益のために行われているのに、太地(のイルカ漁)だけがなぜ伝統になるのか」と語気を強めた。

 日本の捕鯨を非難する米国のアラスカでは、先住民の捕鯨が認められている。この捕獲対象は、反捕鯨団体が保護を強く主張する絶滅危惧種のホッキョククジラ。一方、日本の調査捕鯨の対象は頭数が増えているとされているミンククジラだ。

 八木監督は「捕鯨が悪だとするのに(アラスカは伝統継承であるとして)認めている。矛盾している」とする。

漁放棄は「押しつけがましい」

 進まぬ議論に留学生らからは提案も出された。

 外国人男性は、太地の漁師が捕鯨を奪われると職を失うというのであれば、「ホエールウオッチングなどに転換してはどうか」と投げかけた。

 この主張は、反捕鯨団体もかねてから訴えている。ただ、イルカは泳ぎが早くウオッチングに適さないなど、種類によって向き不向きがある。太地町は都市部からも遠く、地理的に観光に適しているかといった問題もある。

 その上、八木監督は「他の国が行っているからといって、日本も『見る産業』にすべきだとは、押しつけがましいのではないか」と疑問を呈した。

 一方、別の外国人男性は「(太地町の)捕鯨の方法が変われば協力することができるか」と反捕鯨活動家に尋ねた。活動家は「できない」と突っぱね、「いくら方法が変わっても漁には協力しない」とする姿勢を崩さなかった。

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