新国立競技場の現場監督「過労自殺」か 遺族が労災申請、五輪組織委に再発防止要請

報道陣に公開された新国立競技場の工事現場。手前は完成予想図=2017年3月、東京都新宿区
報道陣に公開された新国立競技場の工事現場。手前は完成予想図=2017年3月、東京都新宿区

 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の地盤改良工事に従事していた都内の建設会社の男性社員=当時(23)=が自殺したのは、月200時間超の時間外労働などの過重業務が原因として、両親が上野労働基準監督署に労災申請したことが20日、分かった。東京五輪に向けた建設現場で労災が疑われる事案が明らかになったのは初めて。

 遺族側弁護士は同日、「競技場は設計見直しで工期が遅れ、労働者は長時間労働を余儀なくされている」として、大会組織委員会に再発防止を要請した。

 弁護士によると、男性は大学卒業後、昨年4月に都内の建設会社に就職。12月中旬から、新国立競技場の基礎工事の前段階となる地盤改良工事の現場監督となったが、今年3月2日、会社に「欠勤します」と連絡した後、失踪。4月に長野県で遺体で発見された。「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」などとする遺書が残されていた。

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