【話の肖像画】フィギュアスケート・コーチ 浜田美栄(4) 「楽しさ」得るため厳しく教える(2/2ページ) - 産経ニュース

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フィギュアスケート・コーチ 浜田美栄(4) 「楽しさ」得るため厳しく教える

 「ほめて育てろ」とおっしゃる方もいます。一概に間違いではないでしょうが、私は心からほめたときにこそ、生徒は伸びると思っています。いつも「いいね」「うまいね」と言っていたら、ほめ言葉が普通の言葉になってしまいます。難しいジャンプや、それまでできなかったステップを習得できるようになったとき初めてほめるから、生徒たちも達成感を得られるのです。

 嘘はつけないので、できていなければ「できてないよ」とはっきり言います。小さな子でもヘラヘラと練習していたら、めちゃくちゃ怒ります。これが私の指導方針なんです。

 〈指導は、フィギュアスケートを通じた人間教育にもつながっている〉

 スケートを通じて我慢することを学んでほしいのです。最近は、我慢できない子供さんも少なくありません。お母さんたちもそうです。フィギュアスケートは華やかに見えて、実は我慢の競技です。何もかも思い通りにいくことは、ほとんどありません。

 たとえば、大会では6人一グループで滑ります。このときの滑走順は抽選で決まり、自分で選ぶことはできません。演技直前には6分間練習という、最後の調整の場があります。そこでジャンプを確認しようと思って助走しても、いざ跳ぼうとしたときに他の選手が横切ることだってよくあります。

 思うように物事が進まないからといらだってしまったら、本番で良いパフォーマンスが発揮できません。辛抱ができるということは、とても大切です。

 〈指導していて、伸びる子供たちにはある共通点があるという〉

 最初に素直さ、次に賢さを持っている子は伸びます。教えられたこと、注意されたことを、まずは受け入れてやってみる。その中から、自分に合ったものを選択して取り入れる。「でもね」という言葉が最初に出る子は、なかなか伸びません。(聞き手 田中充)