住田死刑囚の死刑執行 娘の墓前に報告「守ってあげたかった」加藤さんの父、思い語る

死刑執行を受けて報道陣の取材に応じる加藤裕史さん=岡山市東区
死刑執行を受けて報道陣の取材に応じる加藤裕史さん=岡山市東区

 求め続けてきた結果だが特別な感慨は湧かなかった。「娘の分まで生きる決意は変わらない。これからも犯罪被害者への支援活動を続けていく」。住田死刑囚に殺害された加藤みささん=当時(27)=の父、裕司(ひろし)さん(64)は13日、岡山市内で取材に応じ、そう語った。昼に墓前を訪れ、みささんにも執行を報告した。

 「被害者の命を奪ってしまったのに自分は生きているという罪悪感があります」

 控訴を取り下げ、1審岡山地裁の死刑判決が確定した後、住田死刑囚はそんな思いを遺族側に伝えてきたことがある。ただ裕司さんには、心からの謝罪だとは思えなかった。

 何より知ってほしかったのは娘のことだ。「自分の欲望だけで殺害した。家族がどれだけ娘をかわいがり、大事にして、愛してきたか」。みささんに注いできた思いを手紙にしたためて送ったが、住田死刑囚から返事はなかった。

 事件では、被害者が1人の事件で死刑を適用すべきかどうかも大きな争点になった。神戸市長田区の小1女児殺害事件では今年3月、大阪高裁が1審裁判員裁判の死刑判決を覆し、無期懲役に。被害者1人での極刑選択には、弁護士会などを中心に「量刑誤判」といった批判もあり、現在進行形の論点ともいえる。

 これについて、裕司さんは「『数』で量れるものなのか。血が通っていない理屈のみの判決はおかしい」と憤った。

 みささんのことを考えると今でも涙が止まらなくなる。事件前には交際相手からプロポーズを受けていた。「平凡でも幸せな結婚をしてほしかった」

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