青酸化合物を使った近畿の連続殺人事件で高齢者4人への殺人罪などに問われた筧千佐子被告(70)の裁判員裁判が13日、京都地裁(中川綾子裁判長)であり、被告を精神鑑定した医師が「現在、軽度のアルツハイマー型認知症」としたが「犯行に精神疾患の影響はない」と証言した。 被告について、事件の当時は特に精神疾患がなかったが、逮捕後の平成27年ごろに記憶障害を発症したと説明。認知機能の低下がゆっくり進行する懸念があるものの、利害の判別は付き、公判で自己を守る能力はあるとした。
京都地裁は公判前整理手続きで、弁護側の請求で精神鑑定し、責任能力や訴訟能力に問題はないと判断された。
弁護側は「被告が認知症で事件当時に善悪を判断できず、公判で自己を守る能力もない」と無罪を主張。検察側は、取り調べ段階で認知症を発症したとして「軽度で能力の低下は著しくない」としている。
これまでの被告人質問では、25年に亡くなった夫の勇夫さん=当時(75)=の殺害を認めた一方、記憶があいまいだったり、質問と答えがかみ合わなかったりした場面も目立った。