ロシア万華鏡

プーチン政権と対峙する「ロシアのザッカーバーグ」 32歳のパベル・デュロフ氏とは何者か 弾圧で露脱出

本人の写真が入ったパベル・デュロフ氏のツイッター上のアカウント=5日、モスクワ(黒川信雄撮影)
本人の写真が入ったパベル・デュロフ氏のツイッター上のアカウント=5日、モスクワ(黒川信雄撮影)

 ロシアのプーチン政権と対立しながらも、新たなネットサービスを生み出し続けているロシア人企業家がいる。欧州最大級のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「フコンタクテ」と、通信アプリ「テレグラム」を世に送り出したパベル・デュロフ氏(32)だ。同じ1984年生まれの「フェイスブック」創設者、マーク・ザッカーバーグ氏になぞらえロシアのザッカーバーグなどと欧米メディアでは評されているが、政権からの圧力の受け方はザッカーバーグ氏の比ではなさそうだ。

政権と対立

 デュロフ氏は露西部サンクトペテルブルク生まれ。大学卒業後の2006年、SNS「フコンタクテ」を兄弟と立ち上げ、3億人超のユーザーを獲得した。その収入で2億6000万ドル(約300億円)ともいわれる富を築いたが、その後フコンタクテをめぐり、露当局と激しく対峙(たいじ)することとなる。

 露メディアによると2011年末、ロシア連邦保安局(FSB)はデュロフ氏に、反政権派が使用するフコンタクテ上の複数の連絡グループを閉鎖するよう要求した。これに対しデュロフ氏は、FSBの要請文をスキャンし、ツイッター上で公開。合わせて、舌を突き出した犬の写真とともに「特務機関の要請に対する公式回答だ」とのコメントを発表した。

 これを機にフコンタクテとデュロフ氏の関係は一転する。米誌フォーチュンによると、デュロフ氏は圧力を受けるなか、政権と親密な事業家に保有するフコンタクテの株式を売却せざるを得なくなった。

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