学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)問題をめぐる10日の参院の閉会中審査では、官邸の関与を主張する前川喜平前文部科学事務次官と、愛媛県今治市への獣医学部誘致を進めた加戸守行前愛媛県知事が参考人として席を並べた。旧文部省OBでもある加戸氏は獣医学部新設が地元の悲願だったと説明し、計画への批判を繰り広げる後輩への苦言を口にした。(松本学)
「私がゆがめられたと思っている部分は、規制緩和の結果として加計学園だけに獣医学部の新設が認められるに至ったプロセスだ。不公平な部分があるのではないか。解明が必要だ」
こう前川氏が力説すると、自席に着席していた加戸氏は首を大きく横に振った。そして答弁に立つと、淡々とした口調で反論を切り出した。
「10年間我慢させられてきた岩盤にドリルで穴を開けていただいた。『ゆがめられた行政がただされた』が正しい発言ではないか」
加戸氏は、獣医学部新設をめぐる経過を重ねて説明した上で「特区申請をしてから何回も門前払いを食らった。知事任期の終わりのほうに民主党政権が誕生して『自民党ではできないので私たちがやる』と頑張ってくれた。よかったね、と次の知事にバトンタッチしたが、(その後の)自民党政権でも何も動いていない」と訴えた。