赤字のお仕事

「氷が溶ける」「氷が解ける」。どっちを使うの?

 10年前、中国の温家宝首相(当時)が来日したとき、「氷をとかす旅」という言葉が出てきました。その前年に安倍晋三首相(第1次安倍政権)が就任後初めての外遊先に選んだのが中国でした。冷え切っていた日中関係を改善するために安倍首相は「氷を砕く旅」という言葉を使いました。それに呼応して温首相は「氷をとかす旅」と発言しました。もともと中国メディアでは「融氷之旅」(氷をとかす旅)と「融」の字を使っていました。

 当時、外信部から「現地では『融』を使用しているが、産経の紙面上ではどう表現したらいいものか?」と校閲に問い合わせがきたのを覚えています。「融かす=とかす」の意味は分かるのですが、表外音訓といって常用漢字表の読みには「融かす=とかす」の読みはありません。

 表外字や表外音訓は使わないという新聞表記の原則にのっとり、弊社では「融かす」「熔かす」の漢字は「溶かす」に統一しています。校閲部としてはその旨を外信部に伝えて、「氷をとかす旅」もしくは「氷を溶かす旅」の表記で記事になりました。(か)

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