応援団員にとっても一大行事だ。入念にリハーサルをする。山本さんは「リハーサルに1つ上の先輩だけでなく、60歳近いOBも来る。嘉穂のつながりはすごいと思う」と話した。
応援指導は、嘉穂高生となるための通過儀礼であり、応援団にとっては成長の場といえる。
斎藤篤氏(49)=38回(期)=は卒業式の直後、ある行動に出た。
「宿泊研修は当時、長崎県諫早市で行われていた。『応援指導があったから嘉穂高生として3年間過ごせた。原点に戻って校歌を歌おう』。同級生7人で、諫早まで120キロを3日間かけて歩いた。到着後、1本のろうそくを中心に肩を組み、ろうそくが消えるまで歌い続けた」
斎藤氏は今、嘉穂高の主幹教諭として指導を見守る。
× × ×
生徒の成長を促すのは、応援指導だけではない。
4月、学校で公開授業が行われた。体育の始業5分前に、生徒はグラウンドで整列を始めた。
嘉穂高は折に触れて「5分前の精神」を求める。時間を守るというだけでなく、定刻に開始するには準備が重要だ、という考え方が背景にある。