日本と欧州連合(EU)が交渉してきた経済連携協定(EPA)が大枠合意を果たした。
世界の3割を占める巨大な経済圏が誕生すれば、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の漂流で揺らいだ日本の通商戦略を立て直す上で重要な意義を持つ。
日欧が自由貿易の推進を主導する強い意志を発信し、トランプ米政権による保護主義が世界に拡散する事態を阻む起点としたい。
もとより、この成果を日本経済の成長に資する確固たる基盤としなければならない。
訪欧中の安倍晋三首相とEUのトゥスク大統領が会談し、大枠合意を正式発表した。年内の最終合意を目指すべきだ。
トランプ政権発足後、米国が離脱したTPPだけでなく、米国とEUによる通商協定の交渉も先行きが見通せない。
そうした中で日欧はいち早く質の高い内容で足並みをそろえた。多国間の巨大協定を、自由貿易の中心に据える世界の機運が再び盛り上がるよう期待したい。
そのためにも、日本が米国との経済対話で保護主義志向の転換を強く促すべきは当然だ。
同時に、あらゆる経済連携交渉の場で、日欧の成果を踏まえた高水準の自由化を追求していく必要がある。