夢を追う

獣医師・徳田竜之介さん(4)殺処分ゼロの理想追う

動物看護師と被災地に赴き、野良猫などの治療・調査をした
動物看護師と被災地に赴き、野良猫などの治療・調査をした

 《平成28年4月の熊本地震の後、竜之介動物病院には、延べ1500人の被災者がペット連れで身を寄せた》

 動物同伴避難所は、あくまで一時しのぎです。被災者の方々には、ペットのためにも立ち直ってもらわなければならない。

 ライフラインが復旧し、自宅へ戻った人も多かったが、家屋の被災でどうしても戻れないという人もいた。不動産業者にペット可の仮住まいの情報を収集・提供してもらいました。5月7日までに、全員の行き先が決まりました。

 《動物同伴避難所を解消後、被害の大きかった熊本県益城町へ入った》

 倒壊した家屋が連なり、まるで爆弾でも落ちたのか、と言葉を失いました。とにかく動物を飼っている人に声をかけ、様子を見て回った。ペットを死なせ、悲嘆に暮れる飼い主もいました。

 ペットとの思い出を、とめどなく語る被災者もいました。死んだ動物はどうすることもできないが、飼い主に寄り添うことはできます。

 また被災地には、負傷しても放置されたままの犬や猫も、多くいました。そして、野良猫が増加していると気づいたのです。

 いてもたってもいられなくなった。野良猫が問題になれば、殺処分されてしまうからです。

 保護できる限りの猫を病院へ連れ帰り、不妊手術を施しました。そうした猫には、耳に手術済みの印を付けました。

 こうした野良猫を減らす行為を、われわれの世界で「TNR」と呼びます。捕獲器(トラップ)で捕まえ、不妊手術(ニューター)を施し、元の生活場所へ戻す(リターン)。

 TNRによって野良猫の繁殖を防ぐことで、一代限りの猫として地域に受け入れてもらう。しかも猫は自分の縄張りを守り、よその猫を入らせない習性があります。そのコロニーに、外から猫が入ってくることは少ない。

 このTNRが、住民の苦情を減らし、殺処分をなくす一番の早道だと思っています。

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