群大教授らがインスリン分泌で新発見 糖尿病治療に一役

 血糖値を下げるために分泌されるホルモン「インスリン」について、群馬大は、特定のタンパク質が他のタンパク質と結合することで、その分泌を促進させていることを発見した。研究成果は4日、英国の科学誌「eLIFE」に掲載された。

 群大生体調節研究所の泉哲郎教授や松永耕一助教らの研究グループが発見し、ホルモンや神経伝達物質などの分泌に関わるタンパク質「エキソフィリン8」に着目した。

 エキソフィリン8を欠損させたマウスを使い、インスリンの分泌を調べた結果、同マウスでは、インスリンをためている顆粒(かりゅう)が細胞膜周辺に集まらず、血中に分泌するインスリンが減少。血糖値が高くなることがわかった。

 細胞膜周辺に顆粒が集まらないと、血中にインスリンを出しにくくなり、めまぐるしく変わる血糖値にすぐに対応できないという。

 また、エキソフィリン8は、他の2つのタンパク質と結合し複合体を形成することで、より効率よくインスリンを分泌できることも初めて明らかになった。

 これらの仕組みが解明されたことで、松永助教は「エキソフィリン8をターゲットにした糖尿病薬の開発により、インスリン分泌の障害で起こる糖尿病の治療に役立つのではないか」と期待している。

 厚生労働省によると、国内の糖尿病患者数は平成26年調査で約316万人。

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