ヒット本「やせるおかず 作りおき」の類似本騒動、本が似ているのはどこまで許される?

 今回の例で争点となるのは、新星出版社の本の「表紙デザイン全体」が、不正競争防止法で禁じられた、小学館の本との「混同を生じさせる」行為にあたるか否かだという。ただ、この法で保護されるには、表紙デザインが▽ほかの同種商品と異なる顕著な特徴を持っている▽特定の事業者のものとして周知されている-ことなどが条件になる。金子准教授は「例えば2冊の表紙写真はどちらも容器に入れられた料理を並べたもの。でもこれは別の料理本でもよく見る。表紙デザインにも表現の自由への配慮が求められることを考えると、法的にはセーフとなる可能性は高い」と話す。

 平成13年にはベストセラー『チーズはどこへ消えた?』(扶桑社)に似た本の出版をめぐる衝突が訴訟に。程度の差はあれ類似本騒動は繰り返されてきた。

 「出版界では『柳の下にドジョウは3匹までいる』とよく言われる。類似本は3冊目までそれなりに売れるというわけです」と話すのは出版ニュース社の清田義昭代表。今回の騒動の背景にも保存しやすい総菜レシピ本のブームがある。小学館の『やせるおかず-』は食事の支度に時間をかけられない人たちの支持を得て、80万部超のヒットを記録。シリーズ6冊の累計部数は246万部を上回る。

 清田さんは「出版物が世相を反映している以上、類似書を出すことが出版社の怠慢とは言い切れない。ただ促成栽培のような本があるのも事実。時代の流れを追いながらも新たなヒットを生み出す気持ちは持ち続けてほしい」と話す。

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