サウジアラビアなどの中東各国がカタールに外交関係の断絶を通告してから、5日で1カ月を迎える。日本にとって輸入量の約2割を占めるカタール産の液化天然ガス(LNG)は、供給で大きな変化はないが、半導体製造などの産業用ガスや風船に使われるヘリウムは、出荷できない事態となっている。さらに海運各社は航路変更などの対応に追われ、影響の長期化への懸念も強まっている。
サウジ、アラブ首長国連邦(UAE)など中東5カ国は、カタールがイスラム主義組織ムスリム同胞団などテロ集団を支援し、地域不安定化の原因を作っているとして、先月5日、国交断交を通告した。
カタールにとって主力輸出品であるLNGは専用船で直接積み出すため、断交後も安定的に日本などに供給できている。だが、陸路を活用していた物流では大きな影響が出ている。
その代表がヘリウムだ。全世界のヘリウムの8%を取り扱い、国内で50%のシェアを持つ岩谷産業では、韓国や中国、アジア各国向けのヘリウムはカタール産だ。これまではカタールで専用コンテナに積み、陸路でサウジを経由し、UAEのドバイで、コンテナ船に積載し、アジア各国に供給していた。