夢を追う

獣医師・徳田竜之介さん(1)人も動物も一緒に助ける

【夢を追う】獣医師・徳田竜之介さん(1)人も動物も一緒に助ける
【夢を追う】獣医師・徳田竜之介さん(1)人も動物も一緒に助ける
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 熊本市の「竜之介動物病院」は年中無休、夜間の緊急診療にも対応し、ペットと飼い主を支える。病院を経営する獣医師、徳田竜之介さん(55)は昨年4月の熊本地震の際、施設を「ペット同伴避難所」として開放した。「人を助けるなら、動物も一緒に助けなければいけない」。ペットの地位を「社会の一員」へ高めようと奮闘する。

 《熊本地震後、被災者だけでなく、ペットも過酷な環境に置かれた》

 4月14日の「前震」発生時は、診察中でした。この病院は耐震構造になっているのですが、大きな揺れで棚が倒れました。血だらけになった犬猫が連れて来られ、「大変なんだ」と思いました。外を見ると、大勢の人が屋外へ逃げていた。病院を避難所として開放することにしました。避難所では、動物が疎まれることもあるからです。

 SNSで「ペット同伴避難OK」と発信したら、一気に広まりました。

 《16日未明の本震発生時は、帰宅した直後だった》

 「ドーン!」と突き上げるような激しい揺れでした。明らかに14日より衝撃は大きかった。揺れが収まる前に、這(は)うようにして着替えを手にし、病院へ向かいました。とんぼ返りです。10分ほどで到着し、目にしたのは、集まった群衆でした。道の反対側のコンビニにも人がたくさんいた。

 街は停電で真っ暗でした。自家発電がある私の病院と、コンビニだけは明かりがついていた。光に導かれて、人が集まっていたのです。

 前震のときより、多くの動物が運ばれてきました。家具の下敷きになったり、激しい揺れにパニックを起こして家から飛び出し、交通事故に遭った動物です。待合室は、被災者や動物の飼い主であふれました。「まるで野戦病院みたいだ」。そう思いました。スタッフの多くも被災しました。

 《不眠不休に近い活動が、約3週間続いた。ペット同伴で避難してきた人は、延べ1500人を超えた》

 飼い主にとってペットは家族も同然。犬猫を置いて逃げるのは、飼い主にとって意味のないことです。人を助けるのなら、動物も一緒に助けないと、だめなんです。

 診療の合間に、避難者に声をかけるようにしました。

 みなさん明るく、朗らかでした。守るべき動物がいたので、逆に元気が出たのでしょう。ペットという共通の話題があるから、すぐ仲良しになっていた。協力して、水を運ぶなど、雰囲気はすごく良かった。

 《地震の揺れに耐えた病院は、自家発電設備や貯水タンク、災害用無線機も備えていた》

 東日本大震災(平成23年)を教訓に、防災機能を高めようと考えたのです。大地震でも倒れない建物を造り、最新機器を備えました。50歳で大きな借金を背負って建てた。

 資金調達は大変でした。銀行や周囲も「そこまで必要ないだろう」と言います。金融機関からは、何度か断られました。ただ、犬を飼っていた支店長がおり、この支店長を攻略しました。

 動物病院などの融資は、金融機関の担当者に愛犬家、愛猫家がいることが重要ですね(笑い)

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