「思い出のマーニー」の逆をやろう
《作品を見たジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、「ジブリの呪縛から解き放たれると、こういう映画を作るのか。素直にのびのびといい作品を作ったね」。(「火垂るの墓」などの)高畑勲監督も「好感の持てる映画」と語ったが、宮崎監督は「おれは見ない」と鑑賞を拒否したという》
「だけど、6月中旬に完成報告に行ったとき、宮崎監督は『よくがんばった』とねぎらってくれました。作り上げること自体が大変なのは、よく分かっているんです。完成して、お客さんのもとに届けられて、本当によかったなってしみじみ思いました」
《前作「思い出のマーニー」は静かな語り口が特徴だったが、今回はメアリが力いっぱい駆け回る冒険活劇だ》
「『マーニー』の逆をやろう、というところからスタートしました。『マーニー』の主人公、杏奈とは正反対で、思ったらすぐ前に走り出す女の子を主人公にしたファンタジーを描こう、と」
「アニメーターにも、動きの描写が得意な方に集まってもらいました。僕の想像と全然違うものが仕上がってきて、積み重なっていくのがとても面白かった」
「たとえば、魔法で変身させられた動物たちが、次々と元の姿に戻っていく場面は、ジブリ作品を多く手がけ、『スーパーアニメーター』と呼ばれている田中敦子さんが手がけました。どういう感じで鹿や猿が元の姿に戻るかは、ほぼお任せの状態でしたが、素晴らしい描写で、本当にうれしかった」