都市を生きる建築(100完)

影も形もないのに「歴史あり」未来をつくる「大阪新美術館(仮称)」

【都市を生きる建築(100完)】影も形もないのに「歴史あり」未来をつくる「大阪新美術館(仮称)」
【都市を生きる建築(100完)】影も形もないのに「歴史あり」未来をつくる「大阪新美術館(仮称)」
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 「都市を生きる建築」の記念すべき第100回は、中之島を敷地に現在設計が進められている、(仮称)大阪新美術館を取り上げる。まだ影も形もない建築であるにも関わらず、既に30年以上の歴史を有するという希有(けう)な存在だ。

 市立の近代美術館の構想は、1983(昭和58)年に示された大阪市制100周年記念事業にまで遡(さかのぼ)る。その後美術館が収蔵するコレクションの収集が進められ、中之島に土地を取得したものの、市の財政難などを理由に構想が二転三転し、もはや美術館は実現しないのではないかというところまでいった。しかし当初より規模は縮小されたものの、2013(平成25)年に改めて新しい美術館を整備することが決定され、昨年にようやく設計コンペの実施までこぎ着けた。

 コンペでは世界的に活躍する建築家の槇文彦氏や、日本最大の建築設計事務所である日建設計らを押しのけて、関西では無名といってよい40代の建築家、遠藤克彦氏の案が選ばれた。その外観は黒い直方体が空中に浮遊するような、シンプルかつシンボリックなもので、超高密度に圧縮された物体のような存在感が、逆に周囲の広い空間の拡(ひろ)がりを意識させる。

 中之島の西部一帯は今後開発が進み、超高層ビルやタワーマンションが林立して、島というよりは中之島の南北を遮断する、巨大な壁のようになるだろう。そのとき、視界の抜けをつくる美術館のオープンスペースは、極めて重要な場所となるに違いない。