【香港=河崎真澄】香港の主権を英国が中国に返還して20年を迎えた1日、香港の会議場で中国の習近平国家主席が出席し、記念式典が開かれた。その後、3月の選挙で行政長官に当選した林鄭月娥氏の就任式も行われた。一方、「一国二制度」の危機を訴えた民主派の大規模デモも同日行われ、数万人が参加した。
就任式の席で演説した習氏は、香港の高度な自治を保障した「一国二制度」について「世界が認める成功を収めた」と自賛した。その上で、「『一国』が基本であり中央(北京)の権力や(中国が解釈権を握る香港の憲法に当たる)『基本法』の権威への挑戦は絶対に許さない」と強調。「国家主権・安全への制度を香港は整備せよ」と述べた。
香港の若者らに台頭している「独立論」を牽制(けんせい)するとともに、「基本法」23条で定められた反乱扇動などを禁じる「治安維持条例」の早期制定を林鄭氏の政権に要求した形だ。ただ、この条例をめぐっては、2003年に初代長官の董建華氏が制定に動いたところ、言論や集会の自由が剥奪されるとした世論の激しい反発を招いて断念。董氏は辞任に追い込まれた経緯がある。