その後、新テロ特措法が成立し、給油支援が再開されるにあたり、海上自衛隊横須賀基地からインド洋へ派遣される護衛艦の見送りに行きました。指揮官が隊員や政治家、マスコミを前にあいさつした言葉が印象に残っています。
「憲法違反といわれたが、われわれにも意地と誇りがあります」と。
普通、現役自衛官がここまで言いませんよ。違憲だと批判され、テロとの戦いの道半ばで帰国させられた思いは、いかばかりだったか…。あいさつを聞いて私も涙がにじみました。
今回の安倍総裁の提起について、河野克俊統合幕僚長が一個人の見解として「非常にありがたい」と発言しましたが、多くの自衛官が同じ思いを共有しているのではないでしょうか。
確かに課題は残ります。戦力の不保持と交戦権の否認を定めた9条2項を削除しなければ、自衛隊との関係で矛盾を生んでしまう、との指摘があります。また、自衛隊を憲法に明記しても、国連憲章で認められているフルスペックの集団的自衛権は認められないままです。
私も24年の自民党憲法改正草案の作成時に「国防軍」の保持を強く主張した立場なんです。しかし、改正実現のためにはぐっと飲み込んで、現実と折り合いをつけるのが政治です。ホップ・ステップ・ジャンプで言えば、まずホップしなければジャンプもできません。