うな重の「格」めぐる“攻防” ひふみんの大食漢ぶりに圧倒され…
将棋は長時間に及ぶ頭脳戦。消耗する体力を支えるのが対局中の食事やおやつで、将棋は指さないものの観戦を楽しむ「観(み)る将(しょう)」と呼ばれるファンの間で注目度の高いコンテンツだ。棋聖戦も「ニコニコ生放送」が対局開始から終局まで生中継し、画面上は「将棋めし」をめぐる視聴者の書き込みで盛り上がった。
観る将を自認する『将棋めし』の漫画家、松本渚さんは「食の逸話を持つ棋士は多く個性が垣間見える」と話す。たとえば主人公が対局相手とうな重の格を張り合う場面は、監修を務める広瀬章人八段(30)の実体験。「自分より格上のうな重を注文され、やられたと思った。劣等感から対局も負けてしまった」と広瀬八段は振り返る。
うな重といえば、実は斎藤七段にも強烈な実体験がある。以前、加藤一二三(ひふみ)九段(77)=今月20日に引退=と対戦したときのことだ。
加藤九段は昼食に定番のうな重を注文。斎藤七段は「リスペクト(尊敬)して同じ姿勢で臨もう」と同じうな重にした。ところが、同じうな重でも、「サイズは加藤先生の方が大きかった」という。対局は斎藤七段が勝ったが、「自分の方が50歳ほど若いのに、食べる量で圧倒されてしまった」という。