浪速風

熟考の足跡…司馬さんのカラフルな推敲

【浪速風】熟考の足跡…司馬さんのカラフルな推敲(6月26日)
【浪速風】熟考の足跡…司馬さんのカラフルな推敲(6月26日)
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司馬遼太郎さんの仕事机に座らせていただいたことがある。特注した横長の大きなデスクの上には、愛用の万年筆が並べられ、ペン立てに何本も色鉛筆があった。この色鉛筆で原稿を直した。どう使い分けたのか、赤、緑、黄、青のカラフルなハーモニーは、熟考の足跡である。

▶見つかった「竜馬がゆく」の自筆原稿に感心した。ラストに近い「この若者を地上にくだし、その使命がおわったとき惜しげもなく天へ召しかえした」という印象的なくだりは、当初の「天はその若者を惜しむように召しかえした」を修正していた。「惜しむように」を「惜しげもなく」に。竜馬像はより鮮烈になった。

▶司馬さんの推敲(すいこう)は徹底していた。「草原の記」は「空想につきあっていただきたい」と始まる。後に続く「モンゴル高原は、空と草でできあがっている」が書き出しだったが、編集者がワープロ打ちして戻ってきた原稿に加筆した。そうしたこだわりが国民文学を生んだ。

司馬遼太郎記念館(大阪府東大阪市)は23日、「竜馬がゆく」と「坂の上の雲」の自筆原稿計47枚が見つかったと発表した。同館は7月1日〜8月31に一部を特別展示で公開する。