レッスンの「演奏権」めぐるJASRACへの集団訴訟 問われる「民間音楽教育」の意義

◆創造のサイクル

 一方、JASRAC側は「利用の対価を支払い、還元することが創造のサイクルになる。当然の権利主張をしている」という姿勢で、今月7日には東京都内で記者会見を開いた。

 映画「モスラ」やNHK大河ドラマ「利家とまつ」などの映像音楽を手掛けた作曲家の渡辺俊幸理事は「子供たちが安心して作詞家や作曲家という職業を選べるようになるには著作権が守られる状況が必要だ」と訴えた。フィットネスクラブやカルチャーセンター、歌謡教室などに徴収対象を広げてきたJASRAC。「作詞家や作曲家が生活していくためには著作権使用料が大切だと理解してほしい。私もヤマハの教室で学んだ身なので相反する立場で発言するのは音楽家として残念」と唇をかんだ。

 著作権に詳しい弁護士の福井健策さんは「裁判は著作権の公益性のあり方が問われる議論になるだろう」とみる。

◆受講料収入2.5%

 JASRACは来年1月から徴収を始める方針で、今月7日には年間契約の使用料を前年度の受講料収入の2・5%などとする使用料規定を文化庁に提出。

 当面は楽器メーカーなどが運営する約9千教室を対象とし、将来的には個人運営の約2千教室に拡大するとしている。

 一方、守る会側は約50万人分の反対署名を集め、今月下旬にも文化庁に提出する予定。双方で合意できない場合は、申請があれば、文化庁長官が裁定する。

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