レッスンの「演奏権」めぐるJASRACへの集団訴訟 問われる「民間音楽教育」の意義

JASRACの記者会見で訴える渡辺俊幸理事、いではく会長、浅石道夫理事長、大橋健三常務理事(左から)=7日、東京都渋谷区
JASRACの記者会見で訴える渡辺俊幸理事、いではく会長、浅石道夫理事長、大橋健三常務理事(左から)=7日、東京都渋谷区

 音楽教室での演奏から著作権使用料を徴収する方針を決めた日本音楽著作権協会(JASRAC)に対し、音楽教室の運営などをする249事業者・団体が支払う義務がないことの確認を求めた集団訴訟。教室での演奏が、著作権法が定める「公衆に聞かせる演奏」に当たるかどうかが最大の争点だ。「利用の対価を支払うべきだ」「教室の運営に直結する」-。双方の溝は深く、司法判断の行方が注目される。(竹中文、玉崎栄次)

◆教室運営に直結

 「著作権使用料を徴収されたら、教室の運営に直結するので困る」

 子供から大人まで数十人の生徒を受け入れている東京都内の音楽教室に勤務する女性(38)は困惑する。「演奏は教育の一環で、コンサートのように公衆に聴かせるわけではないので使用料の徴収は想像もしていなかった。司法の公正な判断に期待したい」と話す。

 「毎月のレッスン料が値上がりしてしまう」「教室が成り立たなくなる」「音楽文化の衰退につながる」

 原告のヤマハ音楽振興会などを中心に2月、結成された「音楽教育を守る会」には、使用料徴収に反対する意見が約4千件寄せられた。

 著作権法は、公衆に聞かせる目的で楽曲を演奏する「演奏権」を作詞・作曲家が専有すると規定しているが、同会は「訴訟は単なる法解釈の問題ではない。民間の音楽教育が日本の音楽文化の振興に果たしてきた役割を改めて問う契機にもなる」と主張する。

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