浪速風

秀吉なら「築地も豊洲も」はありえない

20日、築地市場の豊洲移転問題で会見した小池百合子都知事=都庁(桐原正道撮影)
20日、築地市場の豊洲移転問題で会見した小池百合子都知事=都庁(桐原正道撮影)

司馬遼太郎さんは、豊臣秀吉の最大の事業は、流通経済の原形をつくったことだという。米など主要物資の市を大坂に置いた。あらゆる商品が大坂に運ばれて相場が立ち、値段が決まって、再び全国に送られた。江戸時代にはさらに経済の中心として発展し、「天下の台所」と呼ばれた。

▶築地は「首都の台所」である。老朽化のため豊洲への移転が決まった。建物は完成したが、土壌や地下水の汚染が指摘され、小池百合子東京都知事が移転に待ったをかけた。1年近くのスッタモンダの末の結論は、豊洲に移転するが、築地も再開発して市場機能を残した「食のテーマパーク」にするという。

▶「築地も、豊洲も」は疑問だ。ネット注文による産地直送など市場外流通が増加しており、築地の水産物取扱量は10年間で3割近く減少している。すぐそばに2つも市場が必要だろうか。秀吉の先見とは比ぶべくもないが、時代の変化を見誤ると負の遺産になりかねない。