【北京=藤本欣也】トランプ米政権が北朝鮮系中国企業を提訴したことに、中国側が反発を強めている。21日にワシントンで開かれる米中外交・安全保障対話(閣僚級)の焦点は、中国の習近平政権が北朝鮮への圧力強化に応じるか否か。米側は、北朝鮮と取引する中国企業への独自制裁に乗り出す構えを見せ、中国に譲歩を迫っている形だ。
米司法省に提訴されたのは、中国遼寧省瀋陽の貿易会社。米国が独自に制裁対象に指定している北朝鮮の朝鮮貿易銀行のダミー会社とされる。2015年、朝鮮貿易銀行の代わりに米ドル取引を行い、マネーロンダリング(資金洗浄)に関与したとして訴えられた。
これに対し中国外務省報道官は16日、「中国は(北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる)国連安全保障理事会決議を真剣に履行している」と強調した上で、朝鮮貿易銀行は「国連の制裁リストには含まれていない」と指摘。「自らの国内法を他国に拡大することに反対する」と米国を批判した。
中国の対米批判には伏線がある。ティラーソン米国務長官が今月中旬の米議会公聴会で、(1)「(北を支援する)中国企業を中国側が制裁しないなら、米国が独自に制裁を科す」と中国に通告した(2)制裁すべき企業リストを中国に渡した-と公表。21日の米中対話で中国企業への制裁問題を取り上げる意向を示していた。