映画深層

生命保険を解約して制作費を捻出 本業は実は…「よろずや探偵談」沢村東次監督のロマン 

「沢村」ってかっこいいじゃない

 「子供もいて、安定した生活をしているのに、なぜかそうなったんですね。いざ始めると、好きな人たちと一緒にものづくりができるので、自分の中のわだかまりがなくなっていく。いろんな刺激がもらえて、とても心地いいんです」

 13年に長編「ロンリープラネットボーイ☆」を初監督。その後、千葉が生んだローカルミュージシャン、ジャガーのプロモーションビデオなどを経て、長編第2作「よろずや探偵談」を完成させた。制作資金の500万円は、親戚(しんせき)からの借金に加え、自らの生命保険と子供2人の学資保険を解約してまかなった。妻にも相談せずに決めたため、ばれたときは大変だったと打ち明ける。「家に帰ったら、保険の解約通知書が机の上に置いてあったんです。その恐怖たるや…」

 1作目は自主上映だけだったが、今回はわずか4日間とはいえ、6月29日から東京・ザムザ阿佐谷で公開されるほか、7月のカナザワ映画祭でもかけられる。その後は今のままだと上映できないというのだが、そのエピソードも、失礼ながら笑える話だ。

 「劇中、ELVIS吉川さんが『ラブ・ミー・テンダー』を鼻歌まじりで歌っているんですが、楽曲の使用を管理するエルビス・プレスリー財団から許諾が下りているのが、この2カ所での上映だけなんです。本人の曲を使うわけじゃないのに、お金がかかるなんて全然知らなかった。最初は50万円といわれたんですよ。それも一括で払ってくれって」

 何とか交渉して安くしてもらったが、今はELVIS吉川にお願いして、別の曲に差し替える準備を進めているところだ。

 実は今回の取材は、出演者で元ホストの伏見直樹(62)が経営する東京・中板橋の居酒屋で行った。沢村監督が声をかけ、主演の三浦知之(41)ら出演者も何人か集まり、大にぎわいの中でのインタビューとなった。

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