映画深層

生命保険を解約して制作費を捻出 本業は実は…「よろずや探偵談」沢村東次監督のロマン 

 仕事は日雇いで工場勤務などをしたが、流れ作業の日々に絶望感に襲われ、10代後半からは家に閉じこもる。バンドでベースを弾いたり、詩を書いたり、友人の8ミリ制作を手伝ったりという生活を送った後、24〜25歳で実家の自動車整備工場を継ぐ決心を固め、27歳で社長に就任した。

 「その後、一緒に8ミリを撮ったりしていた友人の廣田正興くんが監督デビューすることになり、何か応援したいなと思った。千葉でどこか場所を借りて上映するから、と持ちかけたら、じゃあ映画祭をやってよ、と言われて、右も左も分からずに『ちば映画祭』を立ち上げたんです」

 2008年にスタートした「ちば映画祭」は当初、沢村監督の主導でおバカ路線を売りにしていた。アメリカおバカ映画の巨匠、ハーシェル・ゴードン・ルイス監督を描いたドキュメンタリー「ゴッドファーザー・オブ・ゴア」(10年)の日本初上映なども行ったが、市役所も共催している映画祭でこの路線はいかがなものかと疑問の声が上がり、第7回を最後に映画祭を離れる。

 漫画家だった兄が脳梗塞で急死したこともあり、やりたいことはやっておかないと、という思いが募っていった。それが映画づくりだった。

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