映画深層

生命保険を解約して制作費を捻出 本業は実は…「よろずや探偵談」沢村東次監督のロマン 

 例えばキャスティング。主役を演じた三浦以外はほとんどがプロの役者ではなく、主人公の相棒役のくり子は、以前「黒猫の憂鬱」というアイドルユニットを組んでいたときからのファンで、出演と同時に主題歌の作編曲もやってもらった。さらに50代半ばで週末にセーラー服姿で東京・渋谷や新宿を歩く「セーラー服おじさん」として知られる小林秀章にほれてダメ元で出演依頼のメールを打ったら快諾。そのつながりで、東京・新宿歌舞伎町のナンバーワンホストだった伏見直樹を紹介してもらい、と芋づる式に出演者が決まっていった。

おバカ映画を売りに「ちば映画祭」創設

 「ほかにも、エルビス・プレスリー好きのおじいちゃんがいたら面白いなと思って、いろいろと探してたどり着いたのが、九州に住むELVIS吉川さんだった。本当に自分がほれて、この人とやりたいという人とできたことは、非常にありがたいと思っています。こんな見ず知らずの挙動不審の男がいきなり出てくださいと言って、何かに共感していただいたわけですからね」と感謝する沢村監督だが、確かに経歴のユニークさも群を抜いている。

 本名は後藤博茂という沢村監督は1971年、千葉市で生まれた。高校は田園地帯にある学校に通っていたが、通学の途中にザリガニ釣りに興じて単位を落とし、中退。ちょうどレンタルビデオの全盛期で、友達の家に入り浸っては、シンナーを吸いながらビデオを見まくる毎日だった。ここでチャプリンやヒチコックから「悪魔の毒々モンスター」(1984年)といったトロマ・エンターテインメント社製作のおバカ映画まで、あらゆる映画の洗礼を受けた。

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