安倍晋三内閣は9日に「経済財政運営と改革の基本方針2017」をまとめた。来年度予算編成や今後の成長戦略を方向づけるガイドラインで「骨太の方針」とも呼ばれるのだが、財務官僚御用のメディアとアナリストが「難癖」を付けている。(夕刊フジ)
「歳出拡大に布石を打つとともに、2019年10月の消費増税へフリーハンドを得たとの見方がある」(10日付日経新聞朝刊)が代表例だ。脱デフレと経済の拡大よりも、緊縮財政と消費税増税を最優先した結果、日本経済を「空白の20年」に陥らせてきた路線にいまだに執着しているようである。
日経はさらに13日付の朝刊で骨太方針について「財政健全化目標の記述が変わった」と騒ぐ。同方針は国債など借り入れ分を除く基礎的財政収支(PB)を 20年度までに黒字化し、同時に債務残高対GDP(国内総生産)比の安定的な引き下げを目指す、とあるが、日経は「20年度にPBを黒字化する政府目標をなし崩しに変える布石との観測が消えない」と指摘。経済成長率が上がれば、当然のように債務残高のGDP比率は下がる。ならば財政収支の黒字化達成動機が薄くなる、財政規律が緩んでしまう、というわけだ。
政府内部では債務残高のGDP比を、硬直的なPB黒字化目標に置き換えようとする成長重視派とPB黒字重視の財務官僚が対立した揚げ句、安倍首相の裁定で「同時」ということで落ち着いた。それでも、財政均衡至上主義者たちは引き下がろうとしない。