学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、文部科学省が15日、「総理の意向」などと書かれた文書が存在していたと発表した。だが、特区に関し、行政府の長である首相の意向が働くのは当たり前だ。制度を活用する福岡市の高島宗一郎市長は「政治主導で岩盤規制に穴を開ける特区制度の意義は、非常に大きい。首相のリーダーシップも欠かせない」と語った。 (村上智博)
福岡市は平成26年に「グローバル創業・雇用創出特区」に選ばれました。
地方にとって、特区は必要です。技術の進化で、スマートフォンや小型無人機(ドローン)が生まれ、新たなビジネスモデルができた。地方はこれらを貪欲に採り入れ、労働生産性を上げて成長産業を生み出さなければならない。
ですが、法律はこうした新しい技術やビジネスモデルを、想定していない。そのため、法規制が日本の成長の壁となっている。
この規制を緩和し、経済を元気にするのが特区なのです。
岩盤と化した規制を破るのは大変です。地方自治体が省庁に直接、要望してもなかなか実現できません。自治体に代わり、政府のリーダーシップで、各省庁の岩盤規制を打ち破る。それが特区制度なのです。
特区が、福岡市の力になっています。「福岡に行けば何か挑戦できそうだ。福岡で起業しよう」。パイオニアが福岡に移住するようになっています。
福岡市だけではない。リスクを取って、先進的な挑戦をしたいと全国の自治体が特区に手を挙げている。創業特区には、北九州市も追加指定されました。
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民進党が、特区制度を停止する法案を国会に出したことには、耳を疑いました。
規制緩和が一時的でも停止するのは「その間、地方は黙っておけ」と言われているようなものです。
国内で新たな市場をどう作り出すかが大事なときに、岩盤規制に挑戦するエリアを作らないというのは、乱暴です。
それなのに民進党は、いつの間にか特区全体を問題視した。「特区が悪い」という話になった。
かつて民主党政権も政治主導で、既得権を打ち破ろうと言っていたはずです。地方から挑戦しようという機運が盛り上がっているのに、悲しい思いです。
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国会では「総理の意向」をめぐっても論戦となっています。
首相をトップに、政府が時代に合わなくなった法律を変え、岩盤に穴を開ける。「総理の意向」、リーダーシップがあるのは、当たり前じゃないですか。問題視することはおかしい。
安倍晋三首相には今月7日、官邸で面会し、アベノミクスや特区制度で、福岡市の経済がどれだけ伸びたかをグラフにして、見せました。
「特区は岩盤を砕くドリルの刃です。今後も、スピード感を持ち、アクセルを踏んで進めていただきたい」とお願いしました。
首相は「しっかり進める。特区制度ができた当時と、その思いは何ら変わらない。福岡市は九州、西日本を牽引(けんいん)してほしい」と言われました。
特区の成果を、全国に波及させる責任を改めて感じました。
日本はある意味、いろんな制度が充実していたからこそ、行き詰まり感がある。その間、周回遅れだった他国は、電子マネーの導入など、日本に先んじて新しい仕組みを採り入れた。
そんな他国との競争に負けないよう、福岡市は特区制度で日本の先頭を走っていく。日本全国のために、福岡市が特区に選ばれた。
逆風に負けず、これからも成功事例を生み、積極的に規制緩和を提案していきます。