足利市樺崎町の国史跡・樺崎寺跡の復元事業が進み、中世の浄土庭園の特徴となる広大な園池が姿を現している。見学者も相次いでおり、今後、新たな観光スポットとして注目を集めそうだ。
樺崎寺(法界寺)は鎌倉時代、鑁阿寺(ばんなじ)と共に足利義兼が創建。歴代の足利氏を供養する廟所で、岩手県平泉町の毛越寺(もうつうじ)などの浄土庭園を模した。明治時代に入り、神仏分離で廃寺となった。足利市教育委員会は昭和59年度から発掘調査、平成13年の国史跡指定後は保存整備事業も同時に進めている。史跡面積は約10ヘクタール。
保存整備の核が園池(南北160メートル、東西70メートル)。護岸整備は一部を残すのみで、池のほぼ中央に中島、庭石も配置され、池は水をたたえ、浄土庭園の幻想的な雰囲気を醸し出している。
市教委文化課には、市内外から見学依頼も相次いでいる。今後、史跡公園として植栽、ベンチの整備、出土品の展示施設も検討されている。 (川岸等)