地球に届く太陽光の量は常に安定していることが明らかになっており、長年にわたって科学界の共通認識になっている。
では、影響している有力候補は何だろう。「私たちは太陽磁場に注目しています」と宮原さんは話す。
太陽は中心部で核融合反応が進む磁場の恒星。太陽磁場は地球を包んで、超新星爆発に由来する銀河宇宙線の地球への到来を防いでいるのだ。
この太陽磁場が弱まると多くの宇宙線が地球の上層大気に降り注ぐ。
太陽磁場の強弱は、太陽表面の黒点数の多少となって表れる。黒点は磁力線が太陽表面を貫いている場所なのだ。
黒点が多いとき、太陽は活発で地球に到達する宇宙線の量は減少する。逆に黒点が少ないときには、宇宙線の量が増加する。
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宮原さんたちはこの宇宙線が雲の発達に影響するのでないかと考えている。
デンマークの宇宙物理学者、スベンスマルク博士らが20年前から唱えている学説だ。大量の宇宙線が引き金になって低層の雲が増え、太陽の日射がさえぎられる結果、地球の気温が低下するという因果関係が提唱されている。