富士フイルム不正会計

目の届きにくい海外子会社のガバナンス ゼロックスの独立色も一因

決算会見の冒頭、連結子会社の富士ゼロックスの海外販売子会社の不適切会計処理に関して説明する助野健児・富士フイルムホールディングス社長・COO(左)=12日午後、東京証券取引所(宮川浩和撮影)
決算会見の冒頭、連結子会社の富士ゼロックスの海外販売子会社の不適切会計処理に関して説明する助野健児・富士フイルムホールディングス社長・COO(左)=12日午後、東京証券取引所(宮川浩和撮影)

 富士フイルムホールディングス(HD)傘下の富士ゼロックス海外子会社で起きた不正会計問題の背景には、海外の現場で売り上げ至上主義が蔓延する一方、グループ会社の不正を見抜けなかった富士フイルムHDの企業統治(コーポレートガバナンス)欠如があった。

 富士フイルムHDが12日公表した第三者委員会の調査報告書によると、海外子会社社長らが、ボーナスなどのインセンティブ(報奨金)獲得を目当てに売上高を重視し、トップダウンで「不適切な会計処理」を主導。取締役会が機能せず、社長のみに権限が集中し、「不適切な会計処理」は少なくとも平成22〜27年度まで常態化していたという。

 27年の内部告発で問題が発覚するまで、富士ゼロックス幹部にその実態は報告されなかった。それだけでなく、富士ゼロックスは不正報告を受けた後も、副社長らが「(グループ内での報告に)まずは問題ないと書け」と部下に指示するなど、隠蔽を図った。

 「富士ゼロックスは長年、当社の業績に貢献していた。経営の自主性を尊重し、細かく口出ししなかったのが今回の問題につながった」と、富士フイルムHDの助野健児社長は会見で語り、問題の把握があいまいで詰めが甘かったと認めた。

 富士ゼロックスは富士フイルムが75%を出資する子会社だが、グループ内で独立色が強かったことも不正の一因になった可能性がある。

 富士フイルムHDは、連結子会社271社のうち海外は184社(28年3月末)で、海外売上高比率は約6割もある。それだけに、海外子会社のガバナンスを機能させなければ、成長戦略は描けない。

 助野社長は「富士ゼロックスへのガバナンスを強化する」と述べ、親会社主導での抜本的な改革を誓った。

 東芝は買収した米原発子会社の巨額損失に見舞われたが、富士ゼロックスの場合は自ら立ち上げた海外子会社のため、「ガバナンス欠如の根がより深い」(関係者)恐れもある。抜本的な改革が急務だ。(柳原一哉)

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