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トランプ氏の「科学を無視」は本当か 米パリ協定離脱 科学万能主義に戒めの声も 対立は「文化戦争」に

 カリー氏への同意はメディアの側にもある。米紙ウォールストリート・ジャーナル時代にピュリツァー賞を受賞し、4月にNYTに移籍したコラムニスト、ブレット・スティーブンス氏はIPCC報告書について「洗練されたものではあるが、間違っている可能性からは逃れられない」と指摘。「科学について完全に正しいと主張することは科学の理念に背くことになる」と主張している。

 また1980年代からNYTなどで気候変動問題を取材してきたジャーナリストのアンドリュー・レブキン氏も科学万能主義に警鐘を鳴らす一人だ。レブキン氏は「分からない問題が存在することを過小評価すれば、かえって問題を解決しようとしない人たちに力を貸すことになる」として、科学で未来を完全に予測できないことを認めたうえで、幅広い解決策を模索するべきだとする。

 しかしトランプ氏がパリ協定離脱を決めるなか、気候変動問題をめぐる米国の分断はますます深まっている。ロイター通信が6日に発表した世論調査によると、離脱への支持は全体では39%という低水準。しかし共和党支持層間では70%となっており、民主党支持層での17%と好対照をなした。

 こうしたパリ協定離脱に関する賛否について、イエール大学のダン・カーン教授は「人々が気候変動について何を信じるかは、知識に左右されるのではなく、回答者がどういう社会的なグループに属しているかに左右される」としている。

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