医療技術の進歩で、重い疾患の子供や小さく生まれた子供の命も救えることが多くなった。それにともない、人工呼吸器や中心静脈栄養などの医療機器を使いながら暮らす子供も増えている。だが、サポート体制は十分ではなく、ケアの負担が重く家族にのしかかる。東京都内には昨年、医療的ケアの必要な子供が短期入所できる施設が新たにオープン。利用者の声などから、その課題を探った。(佐藤好美)
わが家のように
東京都世田谷区の国立成育医療研究センターの敷地に、1軒の「家」がある。中に入ると、大きな窓から明るい光が差し込み、木目の床がモダンな印象。中庭のもみじの木を眺めながら、わが家のようにくつろげる空間を目指して設計された。
建物は、同センターの医療型短期入所施設「もみじの家」。人工呼吸器や在宅酸素の機器など、医療的ケアを必要とする18歳までの子供らが、最長7日間滞在できる。定員は8人。障害者総合支援法に基づく公的サービスで、利用料はサービスの1割負担と光熱水費など。障害の度合いにもよるが、7日間で2万〜3万円という人が多い。外出が難しい重度の障害を持った子供に絵本や音楽などを用意し、学びや遊びを提供すると同時に、ケアする親に休息を取ってもらうのが狙いだ。