天皇陛下の譲位を可能にする特例法案は7日の参院特別委員会で、採決を退席した自由党をのぞく各党の賛成で可決された。この日で実質審議は終わり、9日の参院本会議で可決、成立する。菅義偉官房長官は、皇位継承に関し「男系男子というものであるので、そこはしっかり引き継いでいく」と述べ、皇室典範の規定を堅持し、女性・女系天皇の検討は行わない考えを示した。
菅氏は、法案の名称に「譲位」ではなく「退位」を用いた理由について「天皇陛下の意思により皇位を譲るものではなく、特例法の直接の効果として行われるものであることを踏まえると退位が適切だ」と説明した。
また、天皇陛下の象徴としての行為は、基本的に全て新しい天皇に譲るのが適切だとの見解を示した。特例法案は、譲位日を特例法の施行日とし、施行日は公布から3年を超えない範囲で皇室会議の意見を聴いて決めるとしている。
特別委には伊達忠一議長、郡司彰副議長が陪席し、菅氏による特例法案の趣旨説明後、全8党派の代表が質問した。
衆院と同じ内容の「女性宮家の創設等」の検討を政府に求める付帯決議案も採択した。自民党の有村治子参院政審会長代理は反対し、同党の吉田博美参院幹事長は有村氏を呼んで厳重注意した。有村氏は以前から「女性宮家の創設等」を明記した付帯決議案に反対し、いったん就任した理事を辞任していた。