自民党の石破茂前地方創生担当相が6日に再始動した党憲法改正推進本部の幹部会合で、さっそく異議を唱えた。平成24年に発表した党憲法改正草案の検証の先行を求めたが、賛同はなし。安倍晋三首相(党総裁)が表明した9条1、2項を残した上での自衛隊明記に注文をつけても実現可能な「対案」は示さず、孤立ぶりが際立っている。(清宮真一)
「草案の扱いはどうするのか」。石破氏は幹部会合でこう訴え、9条の2項を変更して「国防軍を保持」と明記した草案と憲法審査会に示す党の案との関係をただした。回答がなかったため同じ問い掛けを再び行った石破氏に対し、沈黙を守っていた高村正彦副総裁が静かな声で反論した。
「当然、参考にする。憲法審査会に党の案を出すのは初めてだ。案が決まったときに党議にかければ、自然と草案は修正される」
至極当然の見解に石破氏は口を挟まなかった。会合には、高村氏や下村博文幹事長代行ら首相に近い幹部が入り、議論の加速に向けてにらみを利かせる。石破氏への助け舟もなかった。
それでも石破氏は幹部会合後、記者団に「草案は侃々諤々(かんかんがくがく)の議論の末に党議決定した。それを掲げて国政選挙を戦っている。等閑視されていいはずがない」などと能弁に語った。その後の講演では、戦力の不保持を定めた2項を維持しつつ自衛隊の存在を明記すれば矛盾するとし、「整合性をどう取るか答えを出さないまま改正することに納得していない」と強調した。