都市を生きる建築(97)

水都・大阪を守る働く建物…機能性重視の「いぶし銀」大阪市水上消防署

【都市を生きる建築(97)】水都・大阪を守る働く建物…機能性重視の「いぶし銀」大阪市水上消防署
【都市を生きる建築(97)】水都・大阪を守る働く建物…機能性重視の「いぶし銀」大阪市水上消防署
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 働く建築は美しい。大阪市港区の大阪市水上消防署は、陸と水の二面を守る消防署だ。他の消防署と同様に陸上の管轄地域を持つ以外に、水難救助隊が配置され、大阪港と河川の消防を担っている。

 現在の庁舎は、大阪市都市整備局営繕部とシーラカンスK&H(堀場弘+工藤和美)の設計で1999(平成11)年に完成した。一見無骨な四角い建築が、陸と水の際でいぶし銀の光を放つ。

 正面に入り口があり、防火・防災の相談などに訪れる市民を迎える。右手には赤い消防車が数台、いつでも出動できるよう、管理を整えて並んでいる。裏手に停泊しているのは水上消防署が保有する2艇の消防艇だ。「まいしま」は消防車25台分の放水能力のある放水砲や、火災船舶の温度確認が可能な熱画像解析装置などを備えた世界有数の高性能消防艇である。

 それに比べるとぐっと背の低い「ゆうなぎ」も特殊だ。船の高さを水面ぎりぎりにまで落とせる消防艇である。大阪市内の低い橋梁(きょうりょう)の下をくぐることができ、河川部での水難事故や消火活動に幅広く対応が可能。水都大阪の都市のつくりが、船の形にも反映している。

 建築の方はどうだろう。まず目につくのは、右手に大きくせり出した部分だ。この4階と下の3階部分は輝く外壁となっている。これはアルミでできた可動ルーバー。内側のハンドルを回すことで、光と風を内部に導くことができる。内側には消防士が仮眠をとるための待機室が並ぶ。夜間の出動に備えて仮眠から3度の食事まですべて建物内で行えるよう、3・4階吹き抜けの食堂を中心とした明るく、機能的な空間が設計されているのだ。